スペア
奥歯を抜いた。
どうもぐらつくと思ったら、歯が割れていたのだそうだ。
そういえば、いつだったか、石を
ガリっとやって
「イテッ」と思ったことがあった。
きっとあの時である。
その昔は、飯を食っているときに小石が入っていることなど当たり前にあった。
海苔なんかだって、小海老や蟹が一緒に平たくなっていた。
縄文人は虫歯がなかったそうだ。
甘いものを食べなかったから。
その代わり、石やら骨やらを噛むから、ぼろぼろだった。
ところで「抜いた奥歯の代わりはどうするのですか」と聞くと、
「親知らずに期待しましょう」と歯医者さんがおっしゃる。
大人の歯は、32本の永久歯である。
ワタシが期待されているのは「第三大臼歯」、その別名が親知らずである。
歯のことを書いたものを読んでいたら
「現代人では この歯は強い退化の傾向を示している」と書いてあったが、
ワタシの場合、中途半端に生えかかっている親知らずを含めると、
人より一本多く歯があるらしい。
その歯を利用して、欠けた奥歯の分を補ってもらおうというのである。
どうでもいいが、いよいよ歯が痛い。
薬を飲もう。