ことば
筑紫哲也さんが亡くなった。
だいぶお悪いとは聞いていたが、まさかこんなに早く…
筑紫さんの業績はご存知のとおり。
沖縄のことをあれほど気にかけ、沖縄の視点で物事を捉えた
中央のジャーナリストは、筑紫さんをおいていないだろう。
ワタシも筑紫さんの言葉に迷いを払拭してもらったことがある。
ラジオで50年前の首里高校甲子園初出場の番組を作ったとき、
筑紫さんを取材した。
そのとき、筑紫さんは言った
『スポーツであれ、なんであれ、およそ人間がやることで
政治経済活動にかかわってこないものはない』
ワタシの視点は、
「首里高校の甲子園出場は、沖縄の当時の現実を
本土の人々に知らせる最高のアピールになった」
というものだったが、
筑紫さんの言葉は、当時
“スポーツの取材などやってなんになる”
という風を感じていたワタシにとって、
初めてといっていい個人的追い風だった。
また、時代の炎が消えてしまった。
筑紫さんは、アメリカに新時代の息吹が生まれたことを
見届けて逝ったのだろうか。