ドラマのような現実
ニューヨークを流れるハドソン川に
A320旅客機が不時着水。
乗客乗員は全員無事だったそうだ。
指示された小型機用飛行場への着陸をあきらめ
川への不時着を判断したパイロットは、英雄視されている。
このニュースを聞いて、1982年におきた
もうひとつの飛行機事故を思い出した。
エア・フロリダのB737がワシントンナショナル空港を飛び立った直後に
凍結したポトマック川に墜落。
巻き込まれた車に乗っていた人を含む78人が亡くなった。
このときは翼への着氷と雪、そして凍った川という悪要素に加え、
パイロットの判断ミスが起こした事故だという。
今回の事故で、ハドソン川は凍っていなかった。
これも幸いである。
日本時間の朝5時半というが、現地では午後3時半である。
よくぞ船がいなかったものだ。
これも幸いである。
事故というのは、そのときの状況によって
被害に天と地ほどの差が出る。
考えてみれば、数年前の「沖国大ヘリコプター墜落事故」。
ローターと呼ぶ旋回翼がアパートの中まで飛び込んでいるのに、
死者がでなかったのは、まさに奇跡だった。
同じく、中華航空炎上爆発事故でも、
地上にいた整備士が危険を指摘したことで、
危機を直前に回避し、これまた奇跡的に
犠牲者を出さないですんだ。
そういう意味では今回の不発弾爆発事故も…、
重傷を負われた方がおられるので勿論大事故だが、
近隣に高齢者施設があったにもかかわらず
犠牲者が出なかったのは奇跡といっていい。
しかし、「奇跡」で納得してしまったら大変なことになる。
かつて、2度の元寇を、たまたま来た台風の襲来で切り抜けたのを
「神が守った」と幻想を抱き、ずっと後の悲惨な歴史に繋がったように、
同じリスクの種はいくらでも埋まっているのだ。
今回の事故の原因はバードストライク=トリの衝突だという。
以前見たインディジョーンズで、襲い来るドイツ軍の戦闘機に
ジョーンズが傘一本で立ち向かい、
浜辺の水鳥を一気に飛び立たせ、
「撃ち」落とすシーンがあった。
飛行機にとってトリは天敵である。
しかし、最初に空を飛んだのはトリであってヒトではない。
そして、トリが好む場所に飛行場を作ったのもヒトである。
21世紀になって、最新鋭の旅客機が
トリを巻き込んで墜落するとは、正直思わなかった。
もっと丈夫だと思った。
ヒトの技術など、まだまだこの程度である。
なのに・・・
「空気」の金融を売り買いして勝手に経済危機をつくり
大騒ぎしているとは、なんとも情けない生き物である。