まさかの一言

コテツがまたカビにやられ無惨な姿になってきたので、病院に連れていった。
奴はこの動物病院が大のお気に入りだ。
入り口にいるカメを見るのが楽しみなのである。
だが、この日はそんな楽しいことばかりではなかった。
獣医さん曰く「アレルギーかもしれないから、植物性の餌をやってください」

「薬を飲ませるときだけ肉汁を少しつけてもいいですか？」

「それでは何にもなりません。指定の餌だけです!!
」

そんな会話のあと、コテツに
「お前もあしたからベジタリアンだ。肉は当分ダメってさ」と言ったら、コテツが急にこっちの顔を見つめて悲しそうな表情を見せた。
お医者さんとワタシは爆笑したが、彼は間違いなく我が食卓から肉が消えていくことをわかっていたにちがいない。

帰り道のコテツは、一度もこちらを向かなかった。