神の子の研究者

家主

2006年05月26日 20:33



沖縄気象台の佐伯理郎(さいきまさろう)台長にインタビューした。
佐伯さんは海の専門家であり、気象庁で「エルニーニョ監視センター」の所長を務めた人であり
「エルニーニョ現象を学ぶ」というそのものずばりの本も書いておられる。
http://www.seizando.co.jp/w007.html

エルニーニョとはスペイン語で「神の子」
この現象が起こるのが決ってクリスマス前後であったことから、こう名づけられたらしい。

「簡単に言うとどういうことですか?」とえらくストレートに聞いてみたが、
エルニーニョの反対の現象であるラニーニャ現象ともども、
海水温のシーソーのようなものとおっしゃる。

赤道付近の太平洋の東側(南米沖)の海水温が上がるのがエルニーニョ。
赤道付近の太平洋の西側の海水温が上がるのがラニーニャ。

赤道付近で上昇気流が生じるために、起きる東よりの風のことを貿易風という。
かつて帆船の時代には、船乗りは東から西に吹くこの風を使って大海原を渡ったわけだが、
この風が太平洋の東側にある海水を西側に押し付ける。

ところが、貿易風が弱まると押し付けられていた暖かい海水が
あたかもコルセットで締め上げられていた贅肉のように一気に戻る。
 *贅肉なんてことは台長は言わなかったが
これがきっかけになって、エルニーニョ現象が起きるのだそうである。

エルニーニョのときは台風は発生しにくいが
その反対のラニーニャ現象(ラニーニャは女の子の意)が起きると
台風は発生しやすいとのこと。

宮古を直撃した2003年の台風14号は、瞬間最大風速74.1㍍という
恐ろしい突風をもたらしたが、台風のエネルギーの源は暖かい海水温。
最近、沖縄付近の海水温は暖かくなっているという。

もし地球温暖化が進むと、
その昔85.3㍍の突風を吹かせた第2宮古島台風(コラ)をはじめとする
3つの巨大台風の再現になるのではないかという心配もする。

佐伯台長は
「温暖化すると、台風の発生数は減るが、勢力は強くなるという気象研究所の研究もある」
とおっしゃっていた。

昨年、デイゴの花はあまり咲かなかったように思うが、今年は満開だった。
昔からデイゴが真っ赤に咲き誇ると台風が多い、という。

昨年、沖縄本島に影響した台風はなかった。