SF魂
今上映中の“平成版”日本沈没。
その原作を書いたSF作家の小松左京さんが半生をつづった「SF魂」を読んだ。
まずもって面白い。
面白いと思うことを面白く書くから面白くなるのだろうが、書いている人の存在そのものが面白いというのも面白さの証明なのだと思う。
この人は、経済雑誌の記者からスタートしているが、その雑誌の名前が「アトム」というのがいわく付である。大阪万博の前に民俗学者の梅棹忠夫さん、社会学者の加藤英俊らと「万国博を考える会」というのを作り、例の『人類の進歩と調和』という基本理念作成にも携わった。
その後も大阪花博の総合プロデューサーを務めるなど、ともすれば展示会的印象が濃くなりかねない万博に、理念という魂を入れ込むことに努力した人である。
それにしても、SF作家の周囲ってどうしてこう面白いのだろう。
小松左京さんの同級生は高島忠夫さんで、一緒にバンドを組んでたらしいし、
星新一さんのお父さんは、東京・目黒にある星薬科大学の創設者で、星製薬を作った星一さん。
この人が又、野口英世と非常に親しかったらしい。
筒井康隆さんは、筒井順慶の末裔にあたり、お父さんは動物学者。
本気で役者を志していたらしく、今でも自作がドラマ化されたりすると登場したりする。
「日本沈没」がベストセラーになったとき、この人、「日本以外全部沈没」というパロディ版を書いた。
スーパージェッターというアニメーションは、日本のSF作家のゆりかごのような作品である。
筒井康隆、豊田有恒、半村良、眉村卓といった今ではSF界の重鎮(半村良は2002年死去)が脚本にかかわり、子供たちにとって思いもよらない乗り物や武器が登場した。
その中に、このキャラはどう見ても小松左京だろ・・・という人物が登場する。
http://www.s-jetter.tv/index.html
最近はSF冬の時代といわれているそうである。
スターウォーズが映像の世界で極めてしまったからだろうか。
それとも、フィクションとされてきたことがすべて現実の世界になってしまったからだろうか。
だが、すべてを網羅してひとつのドラマに出来るのはSFしかないし、
日本語でその作業をすると、実に可能性の幅が広いと思っている。
可能性の幅といえば
八重山商工のやってのけるドラマは、筋書きの書きようがない。
可能性の幅が「∞」なのである。
8が寝たのではない「無限大」なのである。
派手なエピローグは終わった。
第一章となる松代戦で、彼らはどんな展開で見せてくれるのか。
本当に楽しみである。