これが始まり

家主

2006年08月21日 21:00

振り返ってみると、直前の宮城県大会で延長15回0-0引き分け再試合という、東北と仙台育英の激闘が、この夏の複線だったのかもしれない。

夏の甲子園が終わった…

終わったんだけど、終わったような気がしない。
それぐらい派手な、中身の濃い大会だった。

4連投で前日178球を投げ15回を完投。
再試合となったきょうは、13奪三振、6試合全部完投でしかも最後は無四球だった。

きょうは118球…。でも今大会合計948球を投げ早稲田実業の斎藤が優勝投手になった。

しかし、決勝戦の2試合での彼はすさまじかった。
きのうも最後の15回表に147㌔をマーク。
連投となったきょうも、運命なのか相手エース田中を迎えた最後の場面で147㌔。

きっと、また大野倫のときのように、投げさせすぎというハナシが出てくると思う。
だが、彼は延長15回再試合となった日、
なんとなく再試合になるような「予感」がしたという。

そして試合後、明日も「投げる」と言い、しかも「完封したい」とまで言い、そしてきょう先発マウンドに立った。

監督も「うちは彼しかいない」とずっと言っていたし、彼は想像を超えるスゴイ投球をやってのけた。

私が監督でも、あのオーラを見たら斉藤に託すだろう…


駒大苫小牧は夏3連覇という大記録は達成できなかったが、
2度にわたり真紅の優勝旗が津軽海峡を越えた。
駒大苫小牧は、北海道の高校野球を完全に変えた。

振り返ってみれば、沖縄水産が、夏の甲子園で1回戦2回戦と2戦連続で「南・北海道」代表に当たり、連勝したことがある。
しかし、いま3年連続で決勝戦に出て名勝負をやってのける「優勝候補常連」になった。

東北勢も、日大山形がベスト8に進出した。
日大山形は、沖縄が甲子園初勝利を手にしたときの相手である。

東北の入り口にあった関所を「白河の関」という。
ずっと、優勝旗が白河の関を越えるのはいつか?といわれ続けてきた。
東北に優勝旗がわたる日も、遠くないだろう。

沖尚が優勝したとき、本土の記者に聞かれたことがある。

「本土と沖縄の間の海は東シナ海ですか?」
「いや、太平洋ですよ」
と答えて、「そうか、こりゃあたいへんなこった」と改めて思った。
越えるのは太平洋なのである。

夏の優勝旗「真紅の大優勝旗」は、まだ太平洋を越えていない。
このハタが一番大きな海を越えるには、どれだけの年月が必要なのだろう。

ある人は5年以内と言った。
怪物・田中投手を軸に、猛打を見せる駒大苫小牧の登場も突然だった。
王貞治「投手」でも出来なかった早実の優勝は、ハンカチで顔の汗をぬぐう
決して大柄とはいえない投手の右手から生れた。

八重山商工の今年の「夢」は甲子園では花咲かなかった。
しかし・・・

真紅の優勝旗が太平洋を越える日。
それは突然やってくるかもしれない。