2005年11月01日
八重山の風雲児たち
八重山商工が九州高校野球大会で見事ベスト4に進出。来年春のセンバツをほぼ確実にしました。
一言で言うと、不思議なチームです。
確かに少年野球の八島マリンズで全国優勝し、硬式野球のポニーリーグでは全国優勝にくわえて、世界大会3位と、大舞台の経験では他に並ぶものがないほどのものを持っています。
そして、八島マリンズの監督だった伊志嶺吉盛監督が、石垣市の野球監督派遣事業で
八重山商工野球部監督に就任。
再び、選手たちは、かつての指導者の指揮下に入ったわけです。
練習を見に行ったとき、伊志嶺監督は苦笑いして話してくれました。
「あまりにも、長く近くにいるものだから、怒鳴っても、子供たちに先を読まれてしまっている」
練習中も、大声を出しているのは監督だけ。
しかし、グラウンドに立つと強いんです。
練習のときも、ほとんど声が聞こえてこない。
監督が怒鳴っているのは聞こえても、それが届いているのかどうか良くわからない。
正直、結構ずぼらなプレーもある(ここは直して欲しいですけど)。
それでも強いんです。
でも、この九州大会。彼らは休むことなくずっとグラウンドで声を出し続けています。
伊志嶺監督に伺うと、九州大会を前に
「お前たち、こんなことで良いのか?甲子園にいきたいのか?」
と、問いかけたんだそうです。
「行きたいです!」
「行きたいんだったら、こんなことじゃ駄目だろう」
そして九州大会。全員が、声を出しています。
そして、恐らくこれまで見てきた中で、一番チームに元気が出た大会ではないでしょうか。
九州高校野球。県の第3代表というのは、同じ代表といっても苦しいスタートになります。
2試合しかない「1回戦」からのスタート。センバツ当確のベスト4に残るには3連戦で3連勝
しなくてはいけません。
しかし、初戦、2戦目と九州の強豪に圧勝。
とはいえ、彼らはつぎはぎチーム。
本来のエース大嶺君は、今年になって肩痛で満足に投げていないし、本来中軸を打つ羽地君は足首を痛めて、県大会には参加することすら出来なかった。
秋の県大会でも、準々決勝の浦添商業戦ではけが人が続出。
まさにつぎはぎだらけでした。
2回戦を突破したあと、監督にインタビューしました。
話が一段落したあと、大嶺君登板の有無について話を向けてみました。
というのも、投球練習もやっているし、本人も「短いイニングならイケル」と
言っていたからです。
でも監督は言いました。
「指揮官としては投げさせたい。でも指導者としては投げさせたくない。複雑です」
翌日、2度の甲子園出場を果たしている、大分・明豊とベスト4を賭けて戦った八重山商工。
前半で3点のビハインド。
ふつうだとヘコム展開です。
でもそんな途中経過を聞きながら、私は以前、監督がいっていたことを思い出していました。
「この子達は、大きな舞台を経験してきているせいか、どんなに点差をつけられて負けていても、
負けるということを考えないみたいです」
そして8回、背番号11番をつけた大嶺君がマウンドに登場。
投入のタイミングとしても最高でした。
最後まで負けるはずがない。最後まであきらめない。まさにそれが試合に出ました。
9回裏、土壇場で集中打が出て同点に追いつきます。
そして三者三振。その後延長12回まで相手にヒットを打たせませんでした。
その裏、満塁から相手の暴投でサヨナラ勝ち。
完全に気持ちで勝っていました。
九州大会で打棒爆発の背番号1、金城長靖くんは準決勝のあと、こう言っていました。
「Q:大きな舞台を経験してきているから、こういう舞台は君たちにはちいさいんじゃない?」
「はい、ちいさいです」
この子達は舞台が大きくなればなるほどでっかくなる。
資金面で大変な彼らを地元で支える「夢実現甲子園の会」の平得さん(事務局長)が大会前、
「この子達なら、九州大会の優勝もあるかもしれません、いや、甲子園が決れば甲子園でも優勝するかもしれません」と言っていたのを、「まさか~。すごい盛り上がりようだな~」と思って聞きましたが、ひょっとすると本当かも知れません。
まったくの自然体。
八重山の怪童たち。
ひょっとすると、一番高校野球を楽しんでいるのは、彼らかもしれません。
一言で言うと、不思議なチームです。
確かに少年野球の八島マリンズで全国優勝し、硬式野球のポニーリーグでは全国優勝にくわえて、世界大会3位と、大舞台の経験では他に並ぶものがないほどのものを持っています。
そして、八島マリンズの監督だった伊志嶺吉盛監督が、石垣市の野球監督派遣事業で
八重山商工野球部監督に就任。
再び、選手たちは、かつての指導者の指揮下に入ったわけです。
練習を見に行ったとき、伊志嶺監督は苦笑いして話してくれました。
「あまりにも、長く近くにいるものだから、怒鳴っても、子供たちに先を読まれてしまっている」
練習中も、大声を出しているのは監督だけ。
しかし、グラウンドに立つと強いんです。
練習のときも、ほとんど声が聞こえてこない。
監督が怒鳴っているのは聞こえても、それが届いているのかどうか良くわからない。
正直、結構ずぼらなプレーもある(ここは直して欲しいですけど)。
それでも強いんです。
でも、この九州大会。彼らは休むことなくずっとグラウンドで声を出し続けています。
伊志嶺監督に伺うと、九州大会を前に
「お前たち、こんなことで良いのか?甲子園にいきたいのか?」
と、問いかけたんだそうです。
「行きたいです!」
「行きたいんだったら、こんなことじゃ駄目だろう」
そして九州大会。全員が、声を出しています。
そして、恐らくこれまで見てきた中で、一番チームに元気が出た大会ではないでしょうか。
九州高校野球。県の第3代表というのは、同じ代表といっても苦しいスタートになります。
2試合しかない「1回戦」からのスタート。センバツ当確のベスト4に残るには3連戦で3連勝
しなくてはいけません。
しかし、初戦、2戦目と九州の強豪に圧勝。
とはいえ、彼らはつぎはぎチーム。
本来のエース大嶺君は、今年になって肩痛で満足に投げていないし、本来中軸を打つ羽地君は足首を痛めて、県大会には参加することすら出来なかった。
秋の県大会でも、準々決勝の浦添商業戦ではけが人が続出。
まさにつぎはぎだらけでした。
2回戦を突破したあと、監督にインタビューしました。
話が一段落したあと、大嶺君登板の有無について話を向けてみました。
というのも、投球練習もやっているし、本人も「短いイニングならイケル」と
言っていたからです。
でも監督は言いました。
「指揮官としては投げさせたい。でも指導者としては投げさせたくない。複雑です」
翌日、2度の甲子園出場を果たしている、大分・明豊とベスト4を賭けて戦った八重山商工。
前半で3点のビハインド。
ふつうだとヘコム展開です。
でもそんな途中経過を聞きながら、私は以前、監督がいっていたことを思い出していました。
「この子達は、大きな舞台を経験してきているせいか、どんなに点差をつけられて負けていても、
負けるということを考えないみたいです」
そして8回、背番号11番をつけた大嶺君がマウンドに登場。
投入のタイミングとしても最高でした。
最後まで負けるはずがない。最後まであきらめない。まさにそれが試合に出ました。
9回裏、土壇場で集中打が出て同点に追いつきます。
そして三者三振。その後延長12回まで相手にヒットを打たせませんでした。
その裏、満塁から相手の暴投でサヨナラ勝ち。
完全に気持ちで勝っていました。
九州大会で打棒爆発の背番号1、金城長靖くんは準決勝のあと、こう言っていました。
「Q:大きな舞台を経験してきているから、こういう舞台は君たちにはちいさいんじゃない?」
「はい、ちいさいです」
この子達は舞台が大きくなればなるほどでっかくなる。
資金面で大変な彼らを地元で支える「夢実現甲子園の会」の平得さん(事務局長)が大会前、
「この子達なら、九州大会の優勝もあるかもしれません、いや、甲子園が決れば甲子園でも優勝するかもしれません」と言っていたのを、「まさか~。すごい盛り上がりようだな~」と思って聞きましたが、ひょっとすると本当かも知れません。
まったくの自然体。
八重山の怪童たち。
ひょっとすると、一番高校野球を楽しんでいるのは、彼らかもしれません。
Posted by 家主 at 14:29│Comments(1)
│スポーツ
この記事へのコメント
八重山の風雲児たち、楽しく読ませて頂きました。
石垣に住む者として、うん、うん、と納得できる伊志嶺監督の
話し、そして金城君のコメントでした。
私は彼らの親の世代で、中には知っている子もたくさんいますが、
彼らは俗に沖縄の言葉でいう、うーまくーわらび(やんちゃな子供達)
で、野球に出会わなければ・・・察するにあまりがあります、
そんなことを考えるとスポーツというのは良いものなんですね、
そう思います。
しかし、1回戦から昨日までスタンドで声を枯らして応援し
久しぶりに良い感動、そして心地よい涙を流しました、
何より、彼らは島の子供達に「やればできるんだ」を教えてくれました。
君よ 小さき山を見るな 征するな
あの大海を見よ そして出でよ
それを実践して見せてくれた彼らに感謝しています、
土方さんが、仰るとおり彼らは間違ったら、あの大旗を
何事もなかったかのような顔をして八重山に持ち帰ってくるの
かも知れません、そんな気がします。
これからも内に入った情報をお聞かせください、
楽しみにしております。
石垣に住む者として、うん、うん、と納得できる伊志嶺監督の
話し、そして金城君のコメントでした。
私は彼らの親の世代で、中には知っている子もたくさんいますが、
彼らは俗に沖縄の言葉でいう、うーまくーわらび(やんちゃな子供達)
で、野球に出会わなければ・・・察するにあまりがあります、
そんなことを考えるとスポーツというのは良いものなんですね、
そう思います。
しかし、1回戦から昨日までスタンドで声を枯らして応援し
久しぶりに良い感動、そして心地よい涙を流しました、
何より、彼らは島の子供達に「やればできるんだ」を教えてくれました。
君よ 小さき山を見るな 征するな
あの大海を見よ そして出でよ
それを実践して見せてくれた彼らに感謝しています、
土方さんが、仰るとおり彼らは間違ったら、あの大旗を
何事もなかったかのような顔をして八重山に持ち帰ってくるの
かも知れません、そんな気がします。
これからも内に入った情報をお聞かせください、
楽しみにしております。
Posted by ishigaki at 2005年11月01日 16:14
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