2006年09月12日

近代化を仕掛けた男

近代化を仕掛けた男

小旅行の帰り、足を伸ばして、群馬県高崎市権田にある東善寺を訪れた。
胸像の人は小栗上野介忠順。
彼の人生は、数年前の正月、「またも辞めたか亭主殿」のタイトルで
岸谷五朗さん主演でドラマ化された。

人間には壊して作る人と、残して作る人がいる。
どっちが難しいかというと、前者より後者が難しい。

県内某所の公有地で、現有の建物が住めなくなったら、明け渡すことになっている家が、
ある朝いきなり、まるでヘビの脱皮のように「皮」をはがして
中から真新しい家が現れたという話を聞いた。
外壁一枚を残して内側に作っていたというのだ。

普通に考えれば、古い建物は壊してから立て直すほうがやりやすい。
元の形を残して作り直すというのは、難儀である。

幕末、譜代の旗本というガチガチの家系に生まれ、
勝海舟らとともに世界一周の航海に参加、
その後外国奉行、勘定奉行、江戸町奉行、歩兵奉行、海軍奉行、陸軍奉行などを歴任…

いや任じられるや、また職を解かれ次の役職という繰り返しだった小栗上野介。

その多才ゆえに「外務大臣」『財務大臣」「東京都知事」「警視庁長官」「防衛庁長官」「最高裁判所長官」をトッカエひっかえやったようなものである。

彼は、徳川直臣だったがゆえに「残して生まれ変わらせること」を選んだ。
幕府を残した上で、日本を近代化しようとした。
最後まで薩長軍と決戦することを叫び、将軍だった人の袂を引っ張ってまで主張した。
認められないと知るや、領地に引っ込むが、「壊して作ろう」とする勢力には
こういう存在は怖く、かつ不気味だったのだろう。
難癖をつけられ斬首される。

清濁併せ呑むというが、「壊して作る側」は、
「思い出のある家を残したい人」を説得し、
金と時間がかかるので
業者に「一刻も早く更地にするよう」手を回し、
「昔のイメージは残しますよ」といいつつ
過去のイメージは徹底して払拭してしまう。

古い店が消え、新しい店舗に変わっていたとしよう。
その一角に、美しい花を付ける桜の木があった。
それを切り倒してつくる店と、残して出来た店。
たとえかつて咲き誇った桜を知らなくても、私なら残して出来た店にしか行かない。

「古い体質」

この言葉がこの4~5年飛び交った。
本当に腐り落ちたものもあるだろうが、朽ち行くものにこそ美しさがあるような気がする。

信念って何だろう。
私は、小栗上野介の生き様に惹かれる。



Posted by 家主 at 21:32│Comments(2)
この記事へのコメント
ちょっと前のリフォーム番組で、使えるものは再利用する、思い出のものを取り入れるということをやっていましたが、
番組的見せ場のひとつで思い出のものを「情に訴えるため」にやっているなというカンジが見えた部分もありました。
建築家のセンスとその品物の歴史、生活感が融合してなくて無理があるのです。
そういう時は「温故知新」。
”調和”が大事な気がします。
Posted by うずまきメリーさん at 2006年09月12日 21:56
え~我に策あり!・・「株化問題で振れる楽天とTBS」・・そこで楽天に徳川の埋蔵金を捜し当てれば、提携パートナーとして手を組むと(TBS)側から持ちかけると、万が1、見付ければ視聴率UPが見込め、駄目でも(資本が目減り、後に株化下落と)楽天の体力が消耗!・・何処に転んでも損のないTBS!と、・・時たま亀田兄弟呼びーの・・ま~1年はTBS得意の引っ張りで行けるざんすね!・・えー利根川の支流でない?!、とすれば、江戸城・御堀端近辺!4・5ヶ所辺りに・今だ、眠っておる可能性大か?!・・この国に民主主義はそぐわず、道州制を早め、将軍幕府政治に似た、政治体制がこの国に治安と文化と地域ごとの発展・・競争をもたらし、「火付け盗賊改め方」を模範とした「官民共同機関」が官も民も厳重に取締り!、格差、均整のとれた国造りに変わり始めるずらよ~!!・しかし、新もの好きの(信長)に見せてやりたかったのー!20Mまで近寄れる衛星サテライトの日本地図!・・・・見て!・何て言うだろ~か?!の~(サル!デカシタ!これで!天下は我がものぞー!!)・・(-_-)多分!・・・・
Posted by 糸井O里end土建屋の社長。 at 2006年09月13日 15:32
 
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