2008年12月05日

名優

緒形拳さんが出ているドラマ「風のガーデン」をみた。

亡くなってだいぶんたつのに、今初めて見る演技があるというのは
不思議な気がする。
それにしても、自身がガンに苦しんでいながら
ガンで余命幾ばくもない息子を持つ父を演じていたのは
皮肉というより、役者としてのすごみを感じる。


名優というのは、こういう人のことを言うのだろう。


ゴジラという怪獣がいる。
生まれたのは1954年。第1作である。
のちに、ワルイ怪獣をやっつける「正義の味方」のようになっていったのだが、
当初は水爆実験の影響を受けて、
太古の生き物が放射能を帯びて現代によみがえったという
「恐怖映画」であった。

テレビの再放送で、それを見たワタシは、
吸い込まれるように「白黒画面」に見入ってしまった。


東京湾から首都に上陸したゴジラは、
電波塔に接近する。
なぜか知らないが、タワーの上で、アナウンサーが

「ゴジラがやってきます!」

と実況しているのである。
そして、

「もうこれ以上お伝えすることはできません。さようなら」

と言ったかどうかは定かではないが(ワタシの中ではそういうストーリーになっている)
タワーは、アナウンサーの叫び声とともに、ゴジラによって倒されるのである。
(ワタシの記憶の中ではそうである)

このアナウンサーはなぜ逃げなかったのか…とか、
技術の人たちも踏みつぶされたのだろうか…などということは
全く考えなかった。
このアナウンサーの仕事意識に感動したのである。

人間、自分がどこかで社会に対して少しでも何かの役に立てればと、
必ず心の片隅で思っているはずだ。


コドモ心に、将来はアナウンサーになって
首都をおそうゴジラの様子を実況し、社会のお役にたとうと心に誓ったのであった。
振り返ってみると、最初にこの商売を「商売」と認識したのは
このときが最初かもしれない。



ま、名優の演技の話のあとで引き出しをあけて持ち出すほど
大した理由ではない。


人間、そんなものなのである。



Posted by 家主 at 00:18│Comments(3)
この記事へのコメント
「大した理由なんてない」ではないなんて…
さんせ~いです!
理由がないといけないなんてこと。
でもそれだけ、緒形拳さんに心が動かされたんですね。
きっと!


土方さん自身の中で社会の役なったなぁ~ってことがあります?

ごめんなさい。

なまいきなこときいちゃって

私自身、どうって感じですね。(苦笑)
Posted by 土方大好きさん at 2008年12月05日 00:32
えー一昨年かその前か?テレ朝QABで、確か土曜か日曜の夕方、・・

ナレーション緒方拳で「日本人と虫の音」についての番組でござった、・・
「日本人は虫の音を風流と感じ取れる繊細なハートと耳を持つそんなシチエーション的番組考察があって、その締めに緒方拳が読上げるのです、

「良くぞ日本に生まれけり!」・・・おいおいお~い、どこかで聞いたぞ~
いや、どこかで書いたぞ~、その台詞!、・・そーです、
我輩がドコゾのブログに書き込んだコメントがあれよあれよで番組で使われておる、・・丁度キビ刈りから帰り、ユウゲの最中であっつたんが、

思わず口の物を吐き出したぞ(笑)、・・いやー何か不思議な感覚に包まれておりやんした、
あのあの「緒方拳」がワシの書いたコメントを喋っておるのには、(笑)、・・

で、1番の問題点は、ワシの懐に1文も転がって来てません?!・・
今からでも決して遅くない「特別給費金」名目で速やかに支払うべし!(笑)・
Posted by コオロギ。 at 2008年12月06日 06:04
なんだか、緒形拳さんが亡くなったとはとても思えませんね。
緒形拳さん自身が「ガン」におかされていたからこそなんでしょうか?
最後まで役を演じることができたのでしょうか?
最後まで「役者」さんだったんですね。

いえ!

土方さんの言う通り緒形拳さんを「名優」と言うんですね。

土方さんももしかしたら?
最後まで「アナウンサー」でありたいと思ってるんじゃないんでしょうか?
「生涯現役」私も目指したいです!
Posted by ソウルレディ at 2008年12月06日 06:21
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。