2006年02月23日

鍵盤で夢を紡ぐ

私が大学生のころ、フュージョンが大きなブームだった。

その頃はまっていたのが「ウェザーリポート」

森田さんのバンドではなく、オーストリア生まれの天才キーボーディスト、ジョー・ザビヌルとウェインショーターを核にしたバンドである。

「バードランド」「ブラックマーケット」というアルバムなど、LPの溝が擦り切れるぐらいに聞いた。

社会人になってまもなくアメリカに行く機会があったとき、たまたまジョーザビヌルのソロコンサートがあったので、頼み込んで聞きに行った。

ところがさすがは天才である。

出てきてキーボードの前に座ってまもなく、鍵盤に手を置いたかと思うと、数分間動かない。
「あれ?」と首を傾げたら、一瞬、同じ動きをしたジモティーと目が合った。

気を失ったのかと思ったのである。

しかし、まもなく再び動き出した「天才」は、また別の鍵盤で数分間「気を失った」のである。
天才だけにあの時はどこか違う世界に飛揚していたのかも知れない。

せっかくだからと、翌日はビッグバンドジャズを聴きに行った。
聞くところによると、復帰前のベースには7つもの「ビッグバンド」が存在していた時期があるという。

メンバーはアメリカ、沖縄、フィリピンなどさまざまで、日本人が「バンマス」を務めることが多かったそうだ。

鍵盤で夢を紡ぐ
そんなとき、羽振りのいいジャズマンたちにあこがれていたのが屋良文雄さん。
いわずと知れた沖縄のピアノマンであり、ジャズ協会の会長でもある。

今年、ジャズ生活45年を迎えるそうだ。鍵盤で夢を紡ぐ

40代でアメリカにわたり本場で腕をさらに磨いた。
26年前に、那覇市の泉崎にラウンジ「寓話」をつくり、なんと一日の休みもなくピアノに向かい続けている。

鍵盤で夢を紡ぐ
この人、サケがとにかく大好きである。
タバコもかなりすう。
だが、それでいてマラソンなどにも何度も挑戦しているし、

「気が向いたらどこででも走りますよ」という。

実際、那覇市内で走っている姿を見かけたこともある。

5月27日に沖縄市民会館でジャズ生活45周年の節目となるコンサートがある。
オリジナル曲も数多く、

「数え切れないぐらい。ボクがいなくなったあとで、ムスコがしらべてくれるでしょ」

なんてけろっとおっしゃっているが、とにかく弾くたびに新しい音を紡いでいるのだから、毎回新曲が生まれているといっていい。

「ピアノから夢が出てくる気がするから…いつか夢が出てくると思うからやめられない」

屋良さんのピアノから流れでてくるのは、音ではなく、「夢の卵」なのである。

屋良さんはきょうも「サケ」と「タバコ」を手に、ピアノの前に座っているはずだ。



Posted by 家主 at 19:59│Comments(0)
※会員のみコメントを受け付けております、ログインが必要です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。