土方　浄の「スコアブックをもう一度」

強行軍から帰ってきた。
とにかく、移動移動でアウトバーンばかり見ていたような気がする。
そんな時、運転手が言う。

「日本人はビールは飲まないのか」（そう言っているらしい）




飲まないわけではない。

しかし、沖縄にいるとビーチパーティでもない限り、なかなか昼間から麦般若というわけには行かない。
最近は、ランチビールなどという言葉が徐々に出てきているようだが、
沖縄に住んでいると、「昼ビア」はあまりないケースである。


しかし、運転手は言う。

「日本人は、ビールは好きではないのか…｣



よく聞いてみると、彼はバスでビールを売っていたのである。

それはともかく、日本のサッカー文化…ひいてはスポーツを楽しむという文化は、まだまだ成熟しているとはいえないと感じた。
スポーツという言葉の語源は「遠くへ飛ばす」といったものらしいが、スポーツには「娯楽」という意味もある。
「運動」でもなければ「試合」とも違う。
勿論、試合である以上勝つことが前提だが、楽しむ、楽しませるということがベースにあるのである。




現地ですごいなと感じたのがパブリックビューである。

競技場に入ることが出来る人数などたかが知れている（といっても6万人とかだけど・・・)
残りの奴らがどこで応援するのか…。

こうしたパブリックビューポイントである。
真ん中の大画面を挟むように、対戦相手同士のサポーターがビール片手に盛り上がる。

スタジアムのスクリーンではないのである。
町の中なのである。

翻ってみて、例えば沖縄でそういうことが出来るか。
広場と名がつくところは、ほとんどがお役所の管理下にあって、何をやるにもうるさい。

県庁前広場で、ビール片手にモニターを見て盛り上がれるかということである。


確かにスタジアムの規模は比較にならないし、サッカーの歴史も圧倒的に違う。
だが、それ以前に、スポーツを楽しむという姿勢が、国全体に染み渡っているのではないか。
日本で、そういう雰囲気が出来るのは、いつのことだろう。


負けたものだから、早々と閉館となった日本代表応援の拠点「Ｇ－ＪＡＭＰＳ」である。
だが言ってみて、「ハハーン、あまりよろしくない」と感じた。

この場所は地域の博物館の一角を借りている。
奥をのぞいてみると、原始人の骨とか化石とかが並んでいるのである。


昔を振り返るようなところに、拠点を置いてはいけない。